大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和31(オ)1032 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士上村千一郎、同酒井祝成の上告理由第一点(1)について。

しかし、原判決はその挙示の証拠に基き、「訴外D株式会社の代表清算人Eその

他の清算人も上告人から訴外Fに対する支払につき相談をうけたことはなく況んや

右支払につき何らかの同意又は承諾を為しこれが指示をした事実がなかつた」と認

定しているのであり、所論は右事実に反対の事実を主張して、上告人が訴外Fに対

して支払つたのは債権の準占有者に対する支払であるというのであつて、ひつきよ

う原審の専権に属する事実認定の非難に外ならないのみならず、仮に所論のような

事実が認められたとしても、それだけで所論弁済が債権の準占有者に対する弁済で

あると認め得られるわけのものでもない。それ故所論は採用できない。所論引用の

判例も本件に適切ではない。

同(2)について。

しかし、原判示の如き事実関係である以上は上告人のFに対する所論弁済によつ

て訴外D株式会社のFに対する債務が右弁済の額だけ消滅し、延いて右D株式会社

がそれだけ利益を受けているものと断定することはできない。従つて、本件の場合

民法四七九条を適用する余地はないのであるから原判決には所論の違法がなく、ま

た所論引用の判例も本件に適切のものではない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

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裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 高 木 常 七

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